私自身は情シス経験自体は15年で3社ほどなのですが、ひとり情シスの経験はなく、逆にというか、ひとり情シスの環境に追加投入された側の立場を経験していまして、過去に色々あったのでそのことをベースに書いてます。
この記事では、情シスとして今後生きていくためのキャリアプランのようなものを提示したいと思っています。
結論から言うと、自社のビジネスモデルを理解して、ITシステムはどうあるべきかを考えた上で、現状動いているシステムの見直しなど考えていくようにすると、万が一会社がなくなった時とか、クビになった時とか、新しい上司と合わない、なんていう時にすぐに動けるようになります。という内容の記事です。
ひとり情シスって上司が専門外で業務をあまり理解していないことが多い。
しっかりやってるけど評価されない人もいれば、適当に仕事しながらもうまく報告してサボってる人もいる。
どちらにせよ、5年後10年後にスキルという形で自分に返ってくる。会社がずっと続くとは限らない。
— MD / 業務委託の情シス (@MDLaboIT) February 17, 2021
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ひとり情シスは頼る人が社内にいない
まずはじめに「ひとり情シス」についてです。私からするとその状態は恐怖でしかないです。会社の全てを背負ってるわけですから。まず初めにひとり情シスの定義ですが、社内のITシステム全般を担当しているという認識です。
もちろん会社が小さい場合とか、そもそも社員全体のITリテラシーが高く、自分がいなくても回る場合は除きますが、Twitterを観測しているとそうでないところも多いようです。
例えば、有給を取得しようとすると怒られるとか、土日関係なく問合せがくるとか、労働基準法の存在を感じさせられないような労働環境があるようで。
それが本当なら一刻も早く転職したほうが良さそうです。ここではそういうのを除いて一般的な会社を想定しています。
ITスキル以外が重要
ひとり情シスは文字通り、ひとりでITシステム周りの面倒を見ますので、業務が広範囲です。当然ひとりで全てを完結させることはありません。
基幹システムならベンダーさんと会社の仲介役をしたり、社内LAN環境ならネットワーク屋さんにお願いしまして、問合せるまでもないことはひとり情シス自身が対応していくのですが、分野それぞれ、どこまで対応するかによって、情シススキルの濃淡がついていきます。
基幹系ならデータベース、社内LAN環境ならネットワークと、どれにどこまで足を踏み入れるかは実は自分で選べるので、自分の興味ある分野を積極的にやっていけば自ずと自分のキャリアが決まっていきますが、本当に重要なのはITスキルではなくて、その土台にある自社のビジネスモデルを理解するところだと考えています。
目的と手段を間違えない
なぜビジネスモデルの理解が必要かというと、目的と手段を間違わないようにするためです。自社のITシステムを管理するために入社したのかもしれませんが、自社のITシステムがなぜあるのかというと、自社のビジネスをITで支えるためです。
ですので、自社のビジネスモデルをまず理解した上で、営業部門内の情報共有が必要だというのであればSFAが必要でしょうし、データはあるけど活かしきれていないのであればMAツールが必要なのかもしれません。
まずは自社がどういうビジネスモデルで収益を上げているのかを理解し、その上でいま儲かっているのか、そうではないのか、その理由は何なのか、ITで解決できるのか、という順番に考えていくと、本当の意味での「情シス」という仕事になるのではないかと考えています。
スキルだけだと会話が薄っぺらくなる
ここは完全に主観ですが、「Salesforceの新しい機能は…」とか、「ZoomよりTeamsの方がいいよね…」などの考察も大事なのかもしれませんが、そういう知識で頭でっかちになるよりも、「ITを使って自社の業績にどのような影響を与えることができるか」ということを考えることによって、色んなシステムを目的で選ぶことができるようになります。
また、自社のビジネスモデルを理解する上で、知らないことは他部門に聞く必要があるので、社内的にもコミュニケーションが取りやすくなりますし、コミュニケーションスキルも上がります。
そういうことの積み重ねが情シスの経歴となり、転職する際の武器になります。
専門外の人の面接を受けるということ
実際に転職する際は何回か面接を受けることになるわけですが、同じ情シスという職種を志望する場合は、大抵専門外の総務部長や担当役員との面接が待っています。
そこでどんなシステムを導入したかという個別の案件の話をする前に、「前職ではこういうビジネスモデルでこの部分に課題がありシステム導入することでこのように効果が出ました、御社でも今までの経験を活かすことができます…」って感じで話を持っていくわけです。
技術面接の場合には「で、実際どんなサポートしてたの?」と細かいツッコミは入るかもですが、社内でシステムをゴリゴリ作っているような会社でなければ、ITの知識が足りなくて落とされると言うことは少ないです。
それよりも、どのような考えを持って日々業務にあたっていたかが大事で、それは一朝一夕では身につきません。
全部、自分に返ってくる
冒頭に出したツイートはふと10年くらい前のことを思い出して、最近のひとり情シスの風潮と真逆だったなと思い出してつぶやきました。
当時、私の立場は派遣社員で、ひとり情シスは20ほど上のベテラン社員。
「毎日残業ばかりしていてとても大変だから助けてやってほしい」というのが表向きの経営陣の理由で、裏のミッションとしてやあいつが何をしているか教えてくれ」というものでした。
残念ながらサーバルームで終日サボっているという予想通りの状態で、それでもその人自体はとても素直な方で、うまく導く人がいなかったためにこのような状況になったのだろうと考え、うまく丸めながらひとり情シスの現場が、二人情シスになりました。
細かい話は割愛しますが最終的に私がそのベテラン社員の上司となり、そのベテラン社員を定年まで無事に見送ることができましたが、働く目的がないと強制力が働かない場所では毎日真面目に仕事をするのは難しく、ベテラン社員しか入れないサーバルームは誰でも堕落してしまいそうです。
普段から自社のビジネスモデルや、今期の業績がいいのか悪いのか、それは何が影響しているのか、など思考訓練していると、いざという時に役に立ちます。
当時のサーバルームと現在の在宅勤務が同じとは言いませんが、サボっていても分からないような時こそ自律することが求められます。
ただ、それができるのはほんのひと握りですので、私たちは今こそしっかりと普段の業務に向き合っていきましょう。
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