社員のClubhouse利用を会社としてどう対応するか

コラム

ClubhouseというITサービスが急速に広がりを見せているのをご存じでしようか。

今回は音声SNSと呼ばれるClubhouseについて、ITセキュリティ担当者としての立ち位置で考察していきたいと思います。

基本的に禁止、で問題ない

会社の方針で、SNSをセールスツールとして使っていないのであれば、基本はTwitterやFacebookと同じ立ち位置でいいかと思います。

会社のITセキュリティ担当者として、1番の関心ごとはITセキュリティ事故、コンプライアンス事案が発生しないか、だと思いますので、流行る前に会社のスタンスを明確にするのはとても大事です。

Clubhouseを強制的に使用できなくする方法

MDMという端末管理システムを使用しているのであれば、誰がどのアプリを使っているか分かりますし、アプリの制限もできますので、強制的にClubhouseを禁止することはできます。

しかし、MDMを使っていない場合、誰がどのアプリを使っているかわかりませんので、「会社として使ってはダメですよ」と明確に宣言する必要があります。

企業でClubhouse利用OKの理由

今、一生懸命Clubhouseでの発信を頑張っている多くの人は、スタートアップまたは起業したばかりの社長や広報などです。

主な目的としては知名度を上げること、会社の存在または提供するサービス認知を広めることです。

例えば人事管理システムを販売している会社であれば、新卒採用の改善方法や中堅社員の研修などでキャッチーなトークテーマで集客を行います。

見込み客を呼び寄せ、Clubhouse内で自社のホームページにアクセスしてもらうよう呼びかけて誘導し、メールアドレスを取得するような流れでしょうか。

社員の炎上による社会的信用の失墜が怖い

Clubhouse自体は、現状ではまだまだ利用しているユーザーの規模は小さいですが、今後どんどん広まっていきます。

誰もが発信者となり得る時代に注意しないといけないのは、社員が余計なことを発信して、それが炎上し会社として対応するような事態を避けること。

そのためには、会社として利用を禁止することに限ります。

何でもかんでも禁止にして息苦しいとか、世間の波に乗り遅れているとか、お門違いの批判を浴びたりすることもありますが、会社のメリットになる面が小さいのであれば利用する理由などありません。

もちろん、全社員のITリテラシーが高くて情報管理を適切に守れるなら会社として利用を認めていいかと思いますが、多くの企業の場合は個人でSNSを適切に利用する分には何も言いませんというスタンスではないでしょうか。

当然ですが、社員のプライバシーにまで踏み込んでSNSを禁止することはできませんので。

とはいっても、炎上しにくいのは確か

Clubhouseの利用規約には、参加したroom内で聞いたことを他人に口外することや、文章にまとめたりすることを禁止されています。
(例外として、room内の発言者が全員文書による取り決めで口外OKとした場合は除きます)

ですので、他言無用とばかりに有名人の他では言えない話が盛り上がり、Clubhouseの利用ユーザを虜にしている理由の一つです。

ここで余計なことを言ったとしても、規約上他人にもらすことを禁止されているため、炎上しないというロジックです。

問題点は2つ

今までのSNSでの炎上を考えると、余計なことを言ってそれが証拠に残りバッシングを浴びる、というのがお決まりのパターンです。

たとえ書き込み自身を削除したとしても、誰からスクリーンショットを取得し画像として保有しているので、インターネット上からは消えることがないという怖さがあります。

Clubhouseでは先にも書いたとおり、漏洩しにくいという特徴はありますが、それでも重要な機密事項を利害関係者に聞かれる可能性もあります。

また、Clubhouseの特徴を逆手に取ると、余計なことを言ったとしても多くの場合問題になりにくく、本人自体も気づいていないため、何が原因で情報が漏洩したのかが分からないことが会社にとって脅威になります。

TwitterでもFacebookでも、出張場所を書き込む事でライバル社にバレて取引がなくなるといった事件も日常的に起きてますし、Clubhouseも誰が聞いているかわからないわけです。

電話番号がClubhouseのサーバに保存される

もう1つの問題点はClubhouseを使用する際の登録の仕組みです。

社員が使っている携帯が社給であれば、そこに保存されている電話番号はほぼ全て、自社の社員の電話番号や取引先の電話番号です。個人の携帯を業務で使用しているとプライベートで保有している電話番号と仕事関係の電話番号がClubhouseのサーバにアップロードされることになります。

Clubhouseでわかっていることは、利用者の電話帳をアップロードさせて、利用者が知っている電話番号を持った人がClubhouseを利用した際に「友達が使ってるよ?」と、利用者に通知を出してきます。

もちろん、その相手が実際には友達じゃなくても通知されますので、取引先がClubhouseを使用していたらバレるわけです。どういうroomでどんな話題に興味があるのか知られてしまいます。

利用するメリットはないのか?

ここまでデメリットを中心に紹介してきましたが、BtoBの中小企業でClubhouseを利用するメリットはないのでしょうか。

「企業でClubhouse利用OKの理由」の項目でも簡単に書きましたが、考えられるメリットを挙げていきたいと思います。

当然ですが、利用者のITリテラシーが高いことを前提にはなりますが、以下3点でしょうか。全部スピーカーとして利用した場合の話になります。

  1. 専門家としての認知度を上げる
  2. セミナー用途として利用し集客・販売につなげる
  3. 同業者とのセッションによる情報収集

これらの恩恵を受けられるためにはスピーキング能力が必須で、またアドリブ力も必要なのでかなり難易度が高いですが、今のうちに、使いこなせるようになれば営業面でかなり有利になりそうです。

どちらにせよ、オーディエンスとしての利用であれば時間を浪費するだけですので、会社としては禁止のスタンスがよさそうです。

3.については情報収集として業務の一環のようにも考えられますが、認めるのであればレポートに必須にするなど得た知識の確認が必要です。

まとめ

以上、Clubhouseについて考察してみました。まだまだ情報が不足している部分もありますので、もっとメリットがあるとか、逆に見落としている問題点などあるかもしれません。

その点は気づきましたらまた追記していきたいと思います。もしなにかお気付きの点があればお声掛け頂けると嬉しいです。最後までお読み頂きありがとうございました。

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